万年地獄堂

いつも最低 いつも最低最高最低

それはダイアモンドの輝き

あの子を見たのは中学2年の頃だったかな、友達と廊下を歩いてるとその子とすれ違った。二度見して、「あんな子うちの学校にいたっけ?」と漫画みたいなことを言ってしまった。彼女はバスケットボール部の部長で、背も高く綺麗だったけど、なによりも輝いていたのをはっきり覚えている。他にも可愛い子はたくさんいたけども、それらが束になっても彼女に敵わないことは明らかだった。思春期でもあったことから当然、そんな子がいると興味が湧いてしまう。僕は信頼してる友達からその子のことを色々聞いた。ある日の音楽の授業、同じクラスのスポ根野郎に「お前、あの子のこと好きだろ」と言われた。背筋が凍りつき嫌な汗が流れたのを覚えている。すぐさま否定したが、なぜ彼がそんなことを聞いてくるのか、もしや噂だけが知らぬ間に一人歩きしているのか?疑心暗鬼になった。それから少し経つと、彼女への好奇心も消え去っていた。

彼女にまた会ったのは高校2年生の夏だった。僕は近くのスーパーでアルバイトをすることにしていた。僕の住む地域では、高校生のアルバイトは原則禁止されていて、夏休みや冬休みに申請した場合のみ認められていた。それは説明会の日だった。僕は先に部屋で待っていたが、彼女が入ってきた時、すぐに理解した。輝きは更に増している気がした。彼女の前では、どんな女性も霞んでしまうほど。ある日中学の友達と遊んでいると、どうやら彼女がツイッターで僕のことと思われるようなツイートをしていたらしく、しかもその内容が僕に対して好意的なものであった。それで火がついてしまい、僕らは違う部門だったから話すことはなかったが、どうにかして接点を持ちたかった僕は、とある手で彼女の連絡先を手に入れる。でも僕はコミュニケーションがとれなかったので、全く進展することなくなにもかも面倒になり連絡を絶った。

思うにあれは憧れに近いものだったのだと思う。どうすればあんな輝きを手に入れられるのか、近づきたかったのだと。今どこで何をしているのか、全く知らないけども、きっとあの子ならあの輝きを絶やすことなく生きているのだと思う。